毎年恒例の寒行を行っている日高川町玄子、円通寺の豊嶋英雄住職(59)は、きょう2日に修行を終える。
 毎年寒の入りの1月5日(6日の年もある)から2月2日までひたすら念仏を唱えながら川辺地区を中心に巡る。雨や雪など悪天候でも休むことはない。そんな住職に出会った町民は手を合わせ、「頑張って」などと声をかける。とある寺では寄り合い中の檀家らが駆けつけ、浄財を預けてくれたという。檀家の垣根などなくとても温かい。毎年さまざまな人に出会うが、住職は「現在の日本人に薄れがちと思われている信心深い気持ちをひしひしと感じる」と話す。
 毎年、住職の修行を記事にしているが、取材をやり始めたのは5年前から。ことしは1月25日付に〝32年目〟と掲載した。筆者の母方の実家が玄子にあり円通寺の檀家のため、住職とは以前から知り合いで、公私ともお世話になっている。とても博識で温和な方だが、今回、ユニークな一面も垣間見た。掲載後、住職と電話で話す機会があり、「修行は28歳の時から始められたのですね」と計算してあらためて聞くと、「32年目やで。27歳から」と返答。筆者は首を傾げた。しばらくすると、「今までずっと1年数え間違えてたんか。33年目か。すまん。わっはっは」と住職。毎日凍てつくような寒さの中巡り、風雨で濡れネズミのようになるなどそんな厳しい修行にも関わらず、あっけらかんと話す住職にあっけに取られた。「終わりが近づくにつれて、もっと長く修行を続けたい、お念仏を唱えていたいという気持ちになる」という修行もきょう1日。無事に終え、修行中は一滴たりとも飲まなかった大好きなお酒で修行の疲れを十分に癒やしてほしいと思う。        (昌)