2年後に県内で開かれる「紀の国わかやま国体」や高速道路の南伸の影響で、紀南地方では建設業の求人が増えている。田辺職業安定所や南部高校の求人状況をみると、目立って増加しているという。一方、アベノミクスによる円安効果の波及は少なく、同職業安定所では「輸出などの関係企業の求人は1年前とほとんど変わらない」と話している。
 みなべ町、田辺市、白浜町、上富田町を管轄する田辺職業安定所の10月末現在の求人数は約1800人で、昨年同期の約1500人から1・2倍に増えている。南部高校の10月中旬現在の求人も昨年より13%増加。いずれの担当者も「建設業関係の増加が目立つ」という。要因は、紀南地方で大きな被害が発生した平成23年の台風12号の災害復旧工事に加え、27年開催の国体に伴う施設の大規模改修、高速道路の南伸が影響しているとみられる。みなべ町内の建設業関係者によると「いまは土木が忙しく、1人でも人手がほしい状況。県外業者も紀南地方にヘルプで来ているようで、県外ナンバーのダンプカーが走っている光景をよく見かける」と話している。
 このほか職業安定所によると、観光関係の求人も昨年と比べ増加。2年前の台風12号で遠のいた客足が戻ってきているのが要因とみられる。アベノミクスによる円安効果については「輸出関係の企業などでは業績アップが見込めるが、いまのところ求人にはほとんど反映されていない」と分析している。