ホテルなどの食品偽装が発覚した影響で本物志向が高まり、イセエビの需要が増えて価格が高騰している。これまではロブスターで代用していた業者が多いというが、特にこの時期はおせち料理用の食材としてイセエビが必要になるため、日高地方でも水揚げが多い紀州日高漁協南部町支所では例年の1・5倍程度に跳ね上がっている。漁師らにとっては思わぬ影響に「何はともあれ、価格が上がるのは歓迎」と話している。
 先月後半から全国的に食品偽装が相次いで発覚。この影響がイセエビの価格にも及んでいる。飲食業関係者の話によると「偽装が全国的に問題となったことで、これまでイセエビの代わりにロブスターを使用していた業者らも本物を使用せざるを得なくなっている。いまは正月用のイセエビを確保するのに躍起となっているようだ」という。県漁連も「水揚げ量は、ことしは昨年に比べて若干少ないが、偽装の余波でそれ以上に需要が高まっているのではないか」という。
 紀州日高漁協南部支所でも、偽装発覚後は高値で取り引きされている。ことしの解禁は9月16日。序盤は例年並みの1㌔当たり4000円から5000円程度だったが、今月に入って急に価格が上がり始めた。最近は1㌔平均6000~7000円で取り引きされ、26日には高値で9000円近くにまで上がったという。漁師らは「近年イセエビの価格は下降傾向にあったが、ことしは急に上がり出した。毎年正月前には上がる傾向があるが、ことしは一気に上昇した」という。一方、住民の中には「偽装が発覚したことでイセエビの価格が上がるとは、どれだけ偽装が行われていたのか」という声もある。