県立医科大学は21日、附属病院東側に建設中の地域医療支援センターに、ハイブリッド手術室を開設すると発表した。回転・移動する血管撮影透視装置と連動傾斜する手術台などがセットになった最新施設で、大動脈瘤や大動脈弁狭窄症のステント(人工血管)治療に威力を発揮。この出術室の開設により、従来できなかった重症の大動脈弁狭窄症の経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)も可能になる。
 胸部や腹部の大動脈の一部がこぶ状に大きくなり、破裂すると大量出血で死に至ることもある大動脈瘤。従来、全身麻酔で体を切開する人工血管置換術が主流だったが、近年は腹部、胸部とも血管内を通るカテーテルでバネ状の金属を取り付けた人工血管(ステント)をこぶの部分に運んで膨らませるステントグラフト治療が多く行われるようになっている。
 和歌山県立医科大附属病院では、軽度の場合は血管造影室で心臓血管外科と放射線科がチームを組んで行っているが、頭部(脳)へつながる血管が絡む弓部大動脈瘤では、ステントグラフトの前に、頭部への血流を確保するバイパス外科手術が必要となるため、患者は全身麻酔や人工心臓等の設備がある手術室で処置を受けたあと、別のフロアの血管造影室に移動する必要があった。
 今回の手術室拡充に伴い設置されるハイブリッド手術室は、高精細な血管透視画像にCTやMRIの立体画像を組み合わせ、わきの下などに小さな穴を開けて枝の部分へのバイパス手術が可能となり、従来のような全身麻酔をした状態で血管造影室に移動するといったリスクを回避できる。また、重症な大動脈弁狭窄症も外科的な弁の置換術に代わり、より患者の負担が軽いカテーテルを使った人工弁置換治療法(TAVR)が行えるようになる。
 ハイブリッド手術室は来年4月1日から運用開始し、海外の熟練医師立ち会いなどを経て、秋ごろには独自に治療開始の予定。岡村吉隆院長らは「高齢の患者さんや外科手術が難しい患者さんにとって、このハイブリッド手術室、TAVRは大きな福音になるだろう」と話している。