和歌山市の大橋建一市長(67)が16日、来夏の次期市長選に出馬しない意向を表明したことに関し、仁坂吉伸知事は19日、「基本的には本人の考えを尊重しなければいけないが...」としながらも、支援者集会の場での突然の不出馬表明、任期満了まで9カ月以上も残してのタイミングには、「私ならそんなことはしない」と首をかしげた。
 大橋市長は来年8月24日で3期目の任期が満了。今回、和歌山市内で開かれた女性支援者の集会で、出馬しない考えを初めて表明した。主催の後援会幹部らも寝耳に水で、18日にはあらためて記者会見を行い、「初心はほぼ果たせた。職員との緊張関係が緩み、支持者の苦言も耳に入りにくくなる多選の問題もある」などと理由を挙げ、後継者については「若い人にバトンタッチしたい思いはあるが、後継指名はしない」と述べた。
 この突然の不出馬表明に、仁坂知事は19日の定例会見で、「励ます会を開いてもらって、事前に何もいわず、『頑張れ』といってもらったあとで『私は辞めます』というのは、その人たちの顔をつぶすことになる。友を裏切ってはいけない」と批判。また、大橋市長が「年度途中に任期が終わるので、次の人がやる施策を自分が判断して決めたくない」として、いまになった不出馬表明のタイミングについても、「それは極めて奇妙で非論理的な話。任期が12月、1月というならそれもありうるが、(大橋市長の)任期は8月まであるのだから、堂々とした予算編成、政策をきちんと決めて、最後まで無意思決定状態にならないようやらねばならない。市民の信託は受けているのだから、自信を持ってやったらいい」と別の考えを示した。