本年度の優秀施工者国土交通大臣顕彰者(建設マスター)に、由良町神谷、㈱駒井ハルテック和歌山工場に勤務する松原輝彦さん(47)=由良町衣奈、鋼構造物工=と、みなべ町芝、㈱池田土木の朝本和政さん(54)=田辺市湊、一般土木作業員=が決まった。
 建設業の第一線で「ものづくり」に直接従事している建設技能者の中から特に優秀な技能、技術を持ち、後進の指導、育成などにも多大な貢献をしている人たちを表彰する。本年度は県内から7人が選ばれた。顕彰式典は17日午後2時50分から東京都港区のメルパルクホールで行われる。
 松原さんは29年6カ月にわたり鋼構造物の組み立て、加工職に従事。組み立て手順の改善、組み立てや溶接作業効率化の道具考案などに取り組んだことが高い評価を受けた。特に橋梁上部工のコンクリート敷設のための鋼製型枠「合成床版」組み立てで使用する架台については、組み立て精度が容易に確保でき、作業にもスムーズに取りかかれるようにする「位置決め金具」などを考案。工場内の設備選定に当たっても経験と知識を生かして仕様決定に大きく貢献した。一級鉄工技能士など多くの技能、技術資格を持ち、現在は工作課工作長として若手の技術向上に尽力している。顕彰者決定には「皆さんのおかげで、大変ありがたく光栄に思っています」と喜びを表している。
 朝本さんは和高専土木工学科を卒業後、建設業の道に進み、公共工事を中心に数多くの実績を残している。特に平成23年に台風6号の被害で欠損した田辺龍神線道路(みなべ町清川)の災害復旧工事では二次災害の恐れがある中、安全性を確保しながら作業に取り組んだ。工期の短縮にも貢献。当初は地すべりを防ぐ重圧板を現場でコンクリートでつくる方針だったが、金属性の重圧板を工場でつくり上げて現場に運ぶことに変更して成果を上げた。顕彰者に決まったことには「工事は1人ではなく、チームで取り組んでいる。周りの作業員や会社のおかげです」と話している。