26日には秋雨前線の影響で猛暑が和らぎ、秋が急に訪れたように涼しくなった。家族も夕食に熱いうどんが食べたいと言い出し、安いうどん玉を買いに出ると、多くの人が同じように思ったのか全部売り切れていた。しかしこれも一時のことで、天気予報によるとまた暑さがぶり返すという。思うだにうんざりする◆ことしは平安以来千年に一度の「千年猛暑」といわれるそうだ。毎日の天気予報を見ていると、人間の体温より高い気温が珍しくなくなっていることが、何か空恐ろしい。国内史上最高気温の41・0度を記録した四万十市のほかにも、各地でその地点の観測史上最高気温が続出。そういった数値的なことを除いても、実感としてことしの夏の暑さはただごとではなかった◆10年以上前、夏の暑さで知られる京都に住んでいた。町中を日中歩くと足元から立ち昇る熱気にくらっと目まいがしたものだが、今夏外出した時にはあの時の京都以上ではないかと思った。当時は下宿でエアコンどころか扇風機もなしに耐えていたが、今の気候だと到底耐えられないだろう◆ひとたび便利さや快適さに慣れると、不便さ、不快さへの耐性が弱くなる。調べ物など、キーワードを打ち込んで検索することに慣れると、文献などに当たっていた昔には戻れなくなる。エアコンを効かせることに慣れると、扇風機もなしで耐えていた昔には到底戻れない、という気がする◆全地球的に変化への対応力、耐性の強化の必要に迫られているかのような昨今の気候変動だが、どうやってそれを実現させればいいか心もとない。間もなく本物の秋が訪れ過ごしやすくなるだろうが、冬に異常寒波が来ないよう祈りたい。 (里)