8日の夕方、社内にいると横に置いてあったスマートフォン(スマホ)からサイレンが鳴り響いた。他の社員のスマホや携帯電話からも同様のサイレンとともに地震発生のアナウンスが流れた。誤報であることが報じられている緊急地震速報だ。原因は、海底地震計でのノイズを地震の揺れによるものと誤って計算したことにより、過大な予想をしたなどと報道されている。この誤報で電車が運転を見合わすなど交通機関に影響が出たが、何より速報への信頼性が薄れたことが大きな問題だ。誤報はもちろんだが、マンネリ化を防ぐためにもできる限り軽微な地震では鳴らないように改善してもらいたい。
 ただ結果的には誤報だったが、サイレンが鳴ったとき適切な行動をとることができただろうか。筆者や筆者の周りではサイレンと同時に「え!?」と驚きの声は上がったものの、なんらかの対応をする人の姿はなかったように思う。本来なら机の下に隠れたり何かにつかまったり、物が落ちてきそうな棚や本棚がある場所から離れるなどの行動をとることが必要だ。突然の出来事に驚いたこともあったが、本当にくるかどうかわからないなか、率先して対応することにためらいがあったのかもしれない。
 東日本大震災での釜石市の中学生たちは、浸水エリアより離れていたにもかかわらず、声を上げて避難を呼びかけ、周囲を巻き込んで「釜石の奇跡」を起こした。「率先避難者たれ」という日ごろの教えを忠実に実行した結果だ。当地方でも「率先避難者」という言葉をさらに浸透させ、速報が鳴れば当たり前のように行動できる環境づくりが必要だ。 (城)