ことしの7月18日は、昭和28年の7・18水害からちょうど60年だった。日高川の氾濫等で日高地方では298人の死者・行方不明者を出した未曾有の自然災害である。天田橋に避難した体験者は、濁流にのまれた人の姿をただ見ているしかなかったと、悔しそうに話していた。2年前の9月に起こった紀伊半島水害の被害を目の当たりにしたので、60年前のことも少しはイメージできるが、人が流されるのを目の当たりにするのは辛いという言葉では言い表せないだろう。2年前の水害も、激しい雨があと数時間続いていたらと思うと背筋が寒くなる。あれだけの被害を受けながら、復旧は目に見えて進み、人の力はすごいと感心する。ただ、2年前の大雨以上の雨が降らない保証はない。自然の力は人の想像を超える。
 きょう21日は参院選の投開票日。日高地方ではその2週間後に印南町議選が行われる。印南町も2年前の水害で切目川沿いで被害が出た。懸念される南海地震では巨大津波も想定されているが、庁舎の高台移転の話が思うように進んでいないのはなぜだろう。この間に津波に襲われたらどうしようという危機感があれば、もっと早く進むように思うが。「どうか大きな津波が来ませんように」と祈るしかないのか。
 同町議選はいまのところ1人オーバーの選挙戦が予想されている。立候補予定者の方々はみな、よりよい印南町をつくりたいとの思いを持っておられることだろう。選ばれたあかつきには、印南町の課題、優先して取り組まなければならないことは何なのか、しっかり見極めてスピーディーな行政が行われるよう議会としての力を発揮してくれることを期待している。        (片)