日高川町首長選に有権者の審判が下り、新人市木久雄氏が、2選を目指した現職玉置俊久氏に勝利。初陣を飾った。玉置氏につけた949票の差は、奇しくも玉置氏が前回の首長選で下した元議会議長につけた得票差とまったく同じだった。
 玉置町政を問う選挙だった。玉置氏は4年間、「夢のある日本一のまちづくり」を掲げて町政をかじ取り。観光を中心に活気あふれる施策、各種事業を展開。全国にも名をとどろかせ、町を有名にした。時には玉置町長自身が法被姿でトップセールス。観光だけでなく、玉置氏が考えた鳥獣害対策等は、国レベルで注目を集めている。玉置氏は選挙で町政の前進を訴えたが、ノー判定。たくましく、新鮮に映ったトップが先頭に立って引っ張る町政、民間感覚を取り入れた施策は、評価の声がある一方、一部町民には少しずつ違和感を覚えさせ、夢と日本一を唱えるまちづくりは、発信力が強いあまり灯台下暗しを感じさせ、根の部分で心もとない感覚を抱かせるようになっていったように感じる。
 市木氏は選挙で、「有言実行、信頼される町政を」をモットーに「住民に密着したバランスのとれた町政」を訴え当選。行政経験豊かな手腕に期待が集まった。玉置氏の町政によって以前町にあった「尻すぼみ感」「閉塞感」はまったくといっていいほど感じなくなった。これは「夢のあるまちづくり」のたまもの。市木新町長には、「閉塞感」を再び感じさせることなく、農林業を中心とした産業振興、きめ細かな子育て支援、若者定住、福祉推進など掲げている公約を実践、すべての住民、町政の足元にも光を感じさせるかじ取りをしていってほしい。(昌)