野球の世界大会「WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が開催中で、各国が熱戦を展開している。日本は第1次ラウンド2勝1敗、第2ラウンド2戦全勝し、18日からアメリカで行われる決勝ラウンドの進出を決めた。国と国の対戦となると、グラウンド内だけでなく、グラウンドの外でも熱い戦いを繰り広げている。
 第1次ラウンドで対戦した台湾と韓国戦では台湾側スタンドがヒートアップ。金正恩第一書記の肖像画を掲げたり、韓国選手を戦車でなぎ倒すポスターを貼り出したりする光景がみられた。これには韓国のメディアが猛反発。韓国は前回のWBCで日本に勝った時、マウンド上に自国の国旗を立てたことがあったにも関わらず、「台湾のマナーが悪い」と批判する始末。
 それとは対照的に日本と台湾の試合は心温まる場面がみられた。延長戦の末に日本が台湾に4―3で競り勝つという息詰まる好ゲームだったことに加え、試合後に台湾選手がマウンド上で一礼。日本の観客も大きな拍手で応えた。2年前の東日本大震災でもっとも多くの義援金を送ってくれた台湾に対して感謝の気持ちを伝え、客席に「多額の支援金をありがとう」というプラカードも登場した。
 スポーツの試合では勝敗がもっとも大きな関心。それを望むあまり、過激すぎる応援は反感を買う。場合によっては見苦しい。日高地方でも野球、バレーボールなどの各種競技大会が開催されている。プレーヤーだけでなく、応援者にも相手を尊重するというスポーツマンシップが必要だ。スポーツを通じ、人と人の心が通い合う、そんな感動的な場面が少しでも多く見られればと思う。(雄)