7日の美浜町消防団出初め式の最中、 来賓として出席していた町議会議員がたばこを吸った件が波紋を広げている。 昨年末、 県内市町村で先がけて議会基本条例を制定した議会としては、 議員の資質、 議会の品格を高めようと宣言した矢先の身内の不祥事。 8日朝にはとりあえず、 髙垣典生議長が本人に厳重注意することを決め、 厳粛な式典に泥を塗られた格好の消防団も対応を検討するという。
 式典中にたばこを吸ったのは、 現在4期目の谷口昇議員 (80) =吉原=。 普段から夏場はステテコ姿で役場を訪れるなど、 町内ではだれもが認めるはみ出しセンセーとして、 一部に根強い支持を獲得している。 3日前の成人式にも来賓として出席、 国歌斉唱の際は起立しなかったが、 今回のように席を離れてたばこを吸うという行為には、 他の同僚議員もびっくり。 「これまでは一斉放水の準備のときなどに吸ったかもしれないが、 君が代が流れている際に吸うのは初めてではないか」 と首をかしげる。
 町議会は先の12月定例会で県内市町村に先がけ、 「地方分権時代に対応するべく、 町民に信頼され、 存在感のある開かれた議会にしていく」 ことを目的に、 議会基本条例を制定したばかり。 個々の議員がより資質を高め、 議会全体として品格を上げていこうという矢先、 身内の失態で非難を浴びることになった。 8日朝には正副議長と各委員長が対応を話し合い、 とりあえず、 髙垣議長が本人に厳重注意することを確認。 髙垣議長は 「出初め式は議場外のことであり、 懲罰の対象というよりは、 議員としてのモラルの問題。 しかし、 個人の問題として片づけられるわけもなく、 議会として住民の怒りや非難を真摯に受け止め、 対応したい。 本人とは連絡がとれていないが、 きちんと話をしたいと思う」 と話している。
 消防団は近く幹部が集まって対応を決める方針。 冷田光啓団長は 「厳粛に執り行われている出初め式、 まして国旗掲揚の最中、 席を離れて地べたに座り込み、 たばこを吸うとは社会の常識的な判断からもとうてい許されるものではない。 非常に残念であり、 遺憾に思う」 と話している。
 今回の件について谷口議員は8日午後、 本紙の取材に対し、 「学校内が教職員だけでなく、 一般住民も禁煙となっているのは知らなかった。 その点では皆さんにご迷惑をかけ、 さっき、 議長と教育長に会ってお詫びをした。 松洋中学校にも謝りに行くつもりだが、 私のような年寄りは、 世間の常識についていくのが難しい」 などと答えた。