印南町文化協会の坂下緋美会長ら3人は、 約400年前に多くの印南漁民が移民した千葉県銚子市を訪問し、現地の子孫らと交流した。
 銚子市には江戸時代初期に魚を求めて印南漁民が黒潮に乗って渡っており、 いまでも多くの子孫が残っている。 ことし春ごろ、 子孫の1人、 印南喜一郎さん (83) が印南町に手紙を送ったことをきっかけに、 文協で訪問することになった。
 現地では印南さんをはじめ、 郷土史に携わっている人や紀州出身者でつくる 「木国会」のメンバーで有名醤油メーカーのヤマサ醤油やヒゲタ醤油の役員、 銚子市職員らが対応。 印南さんは 「何もなかった銚子に紀州の人々が漁業を伝え、 たゆまざる努力で日本一の漁港にしました。 あれから400年の時を超え、 子孫の方たちがやってきたのは歴史的なことです」 と歓迎し、 紀州人の墓などを案内した。 一行は、 銚子のほか千葉に鰹節製法を伝えた印南与一の墓が文化財となっている南房総市も訪問した。
 坂下会長は 「皆さん親戚のような感じで温かく迎えていただき、 印南漁民の功績をたたえていただいていることがよくわかりました。 以前訪問した枕崎や土佐でも大切に伝えられていましたが、 一方で地元印南の人がそのことを知らないのが残念です。 これからも 『印南漁民はまちの誇りである』 ということを多くの人に知ってもらえるよう努めたい」 と話している。