1年が経つのは早い。ことしも残り少なくなってきた。 年初めには多くの人が 「平穏で無事に暮らせますように」 と願ったかもしれないが、 実際はどんなに気を付けていてもトラブルが続いてしまうこともある。 平穏無事に過ごせる年もあれば、 波乱続きになる年も。
 筆者のことし1年を振り返ると、 比較的に大きなアクシデントがなく過ごせたのではないかと思う。 この1年に限って言えば、 「これは悪い出来事だった」 と思い当たる節は少ないが、 過去には悪いことが続いた年もある。 3年前の平成21年がそうだった。 例を挙げると、 体調を壊して2度も入院するなど予期せぬ悪いことが次々と起こった。
先日、みなべ町で元オリンピック女子バレーボール日本代表監督の柳本晶一氏を講師に招いて教育講演会が開かれた。「負け、勝ち」のテーマで語り、「挫折を乗り越えた選手が世界で戦える。挫折は自分を変えるチャンスでもある」 と訴えた。 世界のトップレベルの選手の挫折と個人的な不運を比べるのは次元が違いすぎる話だが、 トラブルに遭った時に初めて物事に対して深く考え、 気付くこともある。 平穏無事な生活ばかりだと本当の有難さが実感できないのかもしれない。
また別の日、 同町で人権講演会が開かれた。 スキー中に首を骨折する事故に遭い、 リハビリ生活を経て社会復帰した元教師で講演家の腰塚勇人さんが講師。 「事故で人生観が大きく変わった。 生きていることも命があることも、 当たり前ではない」 と語った。 そう考えるとことしの単年だけに限らず、 すべての日々が幸せに過ごせているのだろう。 年の瀬に、 感謝したい。 (雄)