由良町江ノ駒、 鉄骨建築・構造物鉄工等の㈲濵出工業 (濵出吉高代表) は、 津波・水害時避難カプセル 「たすかプセる」 を開発した。 万一の際に逃げ込めば水に浮かんで救助を待つことができ、 同社の技術を生かした鋼製のため強度だけでなく耐火性にも優れているのが特長。 濵出代表は10日、 記者会見で 「一人でも多くの命、 一つでも多くの財産を守ることができれば」 と述べ、 実際に人を乗せて海に浮かべてのデモンストレーションで完成品をアピールした。
 第1号製品の「たすかプセる」は、円筒形で長さ2・23㍍、直径1・7㍍、重量1・5㌧の大人4人乗り。内部には座席4脚、救命胴衣4着、LED灯などが備えられている。空気取り入れ口もあり、座席には体の安定性を確保するためシートベルトを設置。出入りは上部と正面ハッチからでき、室内に保管している赤色回転の夜間認識灯を上部に取り付ければ暗闇でも救助を求められる。本体構造は外部鋼板が厚さ6㍉、内部鋼板は1㍉。クッションやロックウールと呼ばれる断熱材も施されている。
 濵出代表は由良町商工会館で開かれた記者会見で「東日本大震災の衝撃的な津波の映像を見て、有効的な避難対策はないかと思いついた」「南海トラフ巨大地震の県内被害想定は他府県と比べ最悪な数字。早急に対策を進めていかなければならないと思った」と開発の経緯を説明。構想1年半、ことし7月から自己資金200万円程度と「わかやま産業振興財団」などの補助を活用し、県工業技術センターから支援を受けて完成させたと発表した。同様の製品はすでに販売されているものもあるが、同社の開発品は「主流の強化FRPでは耐火性が低いが、当社は鋼製。表面温度が数百度までは大丈夫」とし、津波が引き起こす火災への耐火性をアピール。「津波避難は原則高台ですが、お年寄りや体の不自由な方、乳幼児や小さいお子様がいる家庭など、避難困難者が最終手段として当社の開発したカプセルを活用し、一人でも多くの命、一つでも多くの財産が助かることができればと思います」と述べた。
 製品の色は発見されやすいように一般的な救命胴衣と同じような目立つオレンジ色。津波にのまれ、横倒しやひっくり返っても復元するように設計されている。人の避難用だけでなく持って逃げられない財産を積み込める、さらに「トラックで運搬が可能なため消防士や警察官などぎりぎりまで救助活動を行う人たちの利用にも貢献できれば」としている。
 デモンストレーションは由良港橋近くであり、実際に4人が乗って海に浮かべた。行政関係者、報道陣らが試乗し、山名実町議は「中から揺らしても安定性を失わなかった。4人が乗っても閉塞感がない。クッションもよさそうだった」と感想を話していた。
 同社によると、同様の製品販売は県内初めて。これから販売予約を受け付けるが、受け渡しは衝撃テストや改良を行い、安全性を再確認したあとになる予定。値段は現在のところ4人乗りで約250万円になる見通し。大きさは依頼者の希望も聞いてくれる。問い合わせは同社御坊工場℡2317まで。