美浜町和田に本社・工場がある銘木集成材の製造・販売等の㈱丸紀(山田道夫代表取締役)は、紀州材のシステム家具「置き和室」のオーストラリアの販売に関して、日本人が経営する旅行会社と代理店契約を締結。先月、第1号のユニットを出荷した。平成17年、御坊商工会議所の「JAPANブランド育成支援事業」で開発・発表してから7年。国内外の見本市やショールームへの出展など地道なPR活動が徐々に成果を挙げつつあり、待望の海外輸出にこぎつけた。
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オーストラリアへ出荷された置き和室
 置き和室は、中小企業庁などの委託事業として、平成17年に地場産業振興と地域活性化を目指す御坊商工会議所のJAPANブランド育成支援事業に採択され、丸紀が中心となって既存住宅に簡単に設置できる紀州材使用のシステム家具として開発・発表された。その後、丸紀が製造・販売を引き受け、20年には中小企業庁の地域産業資源活用事業計画の認定を受け、これまで建築建材展やインテリア・デザイン見本市などへの出展を続けながら、国内外の販路開拓に努めてきた。
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ことし6月、丸紀本社を訪れたオーストラリアンツアーリンクの山田社長㊧と福田支店長㊨(中央は丸紀の山田社長)
 今回、オーストラリア全土での置き和室販売代理店契約を結んだのは、日本人の山田賢一さん(44)が経営するシドニーに本社がある旅行会社「オーストラリアンツアーリンク」。昨年の東日本大震災後、オーストラリアでは日本人観光客が減少しており、新規事業を考えていたところ、パース支店の福田衛次朗支店長(37)がインターネットで丸紀の置き和室を知った。元大工の福田所長はことし1月に丸紀本社を訪れ、工場の製造工程や現物を確認。「思った通りの品質の高さ。これならオーストラリアの簡素な住宅にピッタリ」となり、6月には山田社長とともに再び丸紀を訪れ、正式に契約を交わした。
 すでに回転寿司店のオーナールームや日本風居酒屋のテーブル、カウンターなどに置き和室と関連商品の注文や問い合わせがあり、先月、置き和室シリーズのヒット商品「きのくに御坊ひとま」のユニットをオーストラリアへ向け初出荷。10月中旬には県主催の「わかやま産品商談会」がシドニーで開催され、海南市の酒造会社などとともに丸紀も参加するという。
 国内では淡路島観光ホテルのロビーに座面が畳のいすを納品し、現在、大丸神戸店や心斎橋店のショールームに置き和室などを展示中。開発から7年目にして待望の輸出に山田社長(58)は、「あきらめずにこつこつ頑張っていれば、いつか道は開けるということを実感しました。置き和室はこれからが本当のスタートですが、御坊日高の紀州材の素晴らしさを国内外に広くPRし、地域の活性化につながればうれしいですね」と話している。