柏木征夫市長は11日の市議会一般質問で大規模地震対策に触れ、 日高川の河北、 河南の高台にそれぞれ防災拠点を整備したい考えを明らかにした。巨大地震に伴う橋の崩落などで日高川を挟んだ救援、 救助活動に支障が出る恐れがあるため、 2カ所の拠点が必要という考え。 整備時期など具体的なことは未定だが、 救援物資受け入れのヘリポートや通信装置などを備えた施設になりそうだ。
 山本直治議員が野口の日高川堤防沿いにある防災ステーションについて質問した中での答弁。最初に山本議員は「市消防本部は今月5日、大規模地震を想定して本部機能を野口の防災ステーションに移転する訓練をしたというが、いま本部がある湯川町財部から日高川の川向かいに移すというのがどうも気になる。想定以上の巨大地震が発生した場合に揺れや津波の影響で日高川の橋が崩れないのか。もし崩れた場合は本部機能はどうするのか。津波で特に被害を受けるのは市街地だから、その背後地となる丸山や富安に本部機能を移転させる方が理にかなっているのではないか」と指摘した。
 これに対して市消防の玉置憲一消防長は「いまのところは防災ステーションがある河北を防災拠点に考えている」と答えるにとどまった。しかし、再質問の答弁で柏木市長が「防災ステーションは昭和28年の大水害を受けて建設した施設。近年いわれている大規模地震を想定したものではない。地震や津波対策の防災拠点は河北と河南につくる必要がある。例えば河北なら北吉田、河南なら熊野に土地開発公社が所有している高台の用地があるので、拠点施設ができる」との考えを示した。
 担当課によると「日高川を挟んだ地震の防災対策は、別個に進めていく必要があるという考えは以前から持っていた」と話している。市では薗にある庁舎の改築を同じ敷地内で予定しており、もちろん新庁舎が市内全体の防災拠点になるが、津波被害も予想されるため、もしもの場合に備えた河北、河南の高台防災拠点が心強い味方となりそうだ。