日高川町は、10日の議会全員協議会で安全性を理由に初湯川の美山産品販売所を本年度中に閉鎖したいという意向を伝えた。産品所は地盤沈下によって店舗南に併設のトイレの使用を中止している状況で、大地震発生による震度予測が7に上がったことを受け、執行部側が営業の継続を見直した。議会側からは異論はなかった。来年度以降も商品の販売を続けていきたい考えだが、いまのところ方針は未定。 
 産品所は、椿山ダム近くにあり昭和62年に建築。1階は鉄筋コンクリート、2階は木造造りで延床面積は約130平方㍍。1階は倉庫などに利用し、2階は店舗となっている。地盤沈下によって3年前からトイレの使用を中止しているほか、本体も基礎部分から一部柱が浮いている状況。この日、執行部が議会に 「営業の継続は万一の時に従業員や客、生産者ら利用者の安全に関わる」 として閉鎖への理解を求めた。議会からは反対の声はなく、「危険ならもっと早く閉鎖すべき」という意見もあった。今後、閉鎖に向けて生産者をはじめとする地元への説明、施設を管理運営する㈱共立メンテナンスと協議を進めていくことにしている。閉鎖後の産品販売についてはこれから協議していくが、近隣の愛徳荘にスペースを設けての商品販売、船津の道の駅ふるさとSanPin中津を利用することなどの案が出ている。改修や移転は未定。
 産品所は昭和63年にオープン。当初は旧美山村の直営だったが、町村合併に伴い管理運営は町の財団法人ふるさと振興公社に委託。昨年7月から㈱共立メンテナンスに移行している。オープン以来、地域の人らが手掛けた美山地区特産のごんちゃん漬けや干しシイタケをはじめ、ジャムや梅干し、アイスクリームなど加工品を中心に販売。地元住民や観光客らに人気で、平成7年度には4万人以上が訪れ、売り上げも6400万円に達した。そんな地域振興を担う施設も駐車場が狭いことから買い物客は不便を強いられ、有田川町や田辺市龍神村など近隣に類似施設ができたことなどからこの年を境に売り上げは下降線。22年度には1900万円、昨年度は台風12号被害の影響などもあり1400万円にまで落ち込んでいる。安全性、営業改善の両面から地元地域審議会などは移転整備の要望を出し、町当局も産品所を併設した道の駅構想の関連予算をことしの3月議会と6月議会に提案したが、規模や維持管理費、売り上げ面、将来展望などを理由に認められなかった。