近年は若者の理数系離れが憂慮されているそうだが、「理数が楽しくなる教育」実行委員会の主催で、5年前から高校生を対象に「缶サット甲子園」が開かれている。缶サットとは空き缶サイズの人工衛星。サットはサテライト(衛星)の意味だ
第5回缶サット甲子園では、日高高校科学部のチームが見事優勝。全国の高校からただ1校、今月9~14日にアメリカ・ネバダ州で開かれる小型ロケットの打ち上げイベント「ARLISS(アーリス)」への参加資格を射止めた。全国大会では、「開催趣旨である分析力や考察力、状況への対処能力などが最も発揮できていたチームだった」と評価。取材で話を聞かせてもらったが、メンバーが主体的に楽しんで取り組んでいる雰囲気が伝わってきて頼もしく思った
日本人のノーベル賞受賞者第1号、湯川秀樹博士の自伝「旅人」を読んだことがある。非常に美しく格調高い文章で綴られた、詩情あふれる一冊である。この中に、「未知の世界を探求する人々は、地図を持たない旅行者である」との一節がある。「地図は探求の結果、できるのである。目的地がどこにあるか、まだわからない。もちろん目的地へ向かっての真直ぐな道などできてはいない」
知識と技術を駆使して、さらに高みを目指すことの胸躍る楽しさ。自らの手で真理の「地図」を書いていく喜び。理数系の魅力はそこにあるのだろう。分からないものを分かろうとしていくところは文学とも共通しているかもしれない
現地では、NASAやサイエンスセンターの見学も日程に組み込まれているという。若い感性をフルに生かして、未知の世界を探求する醍醐味を満喫してきて欲しい。 (里)

