ロンドン五輪は第4日の30日 (日本時間31日未明)、男子体操団体総合決勝が行われ、 和歌山市内のホテルで開かれたパブリックビューイングには300人以上のファンが詰めかけた。 日本は中国に次ぐ2位で迎えた最終種目のあん馬で、 和歌山県出身の田中和仁、 エース内村航平が相次いで失敗。 最終総合得点は4位と発表されたが、 長時間の審議の結果、 内村の得点が訂正されて逆転の銀メダルとなり、 真夜中のPV会場はため息から一転、 喜びと歓声に包まれた。
 PVは午前0時半から始まり、 会場には仁坂吉伸知事や近畿体操協会の小宮清理事長(美浜町和田)、 田中和仁・佑典兄弟のジュニア時代の恩師をはじめ、 2人の和歌山北高時代の先輩後輩、 ジュニアチームの後輩らも詰めかけ、 大スクリーンのライブ映像を見ながら大声援を送った。
 日本は1種目のつり輪で3位と出遅れ、 2種目の跳馬ではスペシャリストの山室光史の着地失敗による負傷というアクシデントが発生。 続く平行棒、 鉄棒、 ゆかではミスをしながらも踏ん張り、 金の可能性をわずかにつないで最終種目のあん馬を迎えた。
 負傷の山室にかわり、 急きょ出場となった主将の田中和仁はまさかの落下。 最終演技者のエース内村も最後の着地前の倒立でバランスを崩し、 これを技が完成していないととられたため、 総合得点で日本は3位だったイギリス、 4位だったウクライナにも抜かれ、 メダルを逃した。
 午前3時、 最後まで 「最低でも銅」 を信じていたPV会場はため息に包まれたが、 内村の難度認定に関して日本が抗議を行い、 約15分の審議の結果、 内村の得点は訂正。 この結果、 イギリス、 ウクライナを抜き返し、 2大会連続の銀メダルを獲得した。 いったんは静まり返った会場も、 「日本銀メダル」 の中継の声に歓声が爆発。 仁坂知事もガッツポーズ、 小宮理事長らと握手をかわし喜びを分かち合った。
 小宮理事長は 「世界選手権でも抗議による得点の訂正はたまにあるが、 まさか今回のオリンピックでこんな波乱に見舞われるとは...。 とにかくメダルを獲れてよかった」 と胸をなでおろし、 「個人総合はおそらく、 けがをした山室にかわって和仁が出ることになるだろう。 団体でのミスを挽回するつもりで、 内村とともにメダルを争ってほしい」 と話していた。