第94回全国高校野球選手権和歌山大会は28日に決勝が行われ、智弁和歌山が那賀を延長14回の死闘の末に4―2で破り、8年連続20回目の優勝を飾った。戦後初の8連覇を決めた智弁和歌山には日高地方から土井健太郎投手(18)=3年、みなべ町=、阪本将太二塁手(16)=2年、美浜町=、山田昇壱郎一塁手(16)=2年、御坊市=がベンチ入り。土井、阪本の両選手は大一番の勝負どころで素晴らしいプレーを見せ、夢の甲子園出場へ大きく貢献した。
 土井投手は延長10回裏の1死一塁からリリーフ。振り逃げなどで三塁に走者を背負ったが、自慢のスライダーでサヨナラのピンチを切り抜けると、3番手につなぐまで3回3分の2を投げて得点を許さなかった。打席でも2打数2安打。14回には貴重な4点目の適時打も放った。今大会は控え投手ながら4試合15回3分の1を投げ、失点はわずか1と大活躍。粉河戦は右足がつるアクシデント、決勝は疲労困憊(こんぱい)の状態だったが決勝点を与えず、バットも6打数5安打と絶好調だった。金メダルを手に「きょうは大会の中で一番調子がよかった。絶対に抑えてやるという気持ちで、自信のあるボール(スライダー)を投げられた」と笑顔いっぱいに話し、「甲子園では自分のピッチングがしたい。スライダーで勝負したい」と意気込みも示した。
 阪本選手は2番、二塁で先発出場。初回の中前打以降は12回無死一、三塁で浅い中飛に終わるなど快音が聞かれなかったが、延長13回2死二塁の場面で一二塁間を破られようかという当たりを見事ダイビングキャッチ。一塁に素早く送球し、那賀のサヨナラを阻止した。今大会は全5試合に2番、二塁で先発出場。21打数6安打5打点と本来の打棒は見せられなかったが、南部戦では千金の決勝打を放った。大一番を振り返っては「(ダイビングキャッチの場面は)絶対に届くと思ってがむしゃらにいきました。(打撃不振を)守備で取り返せてよかった」と満面に笑み。甲子園では「今度は打って、チームに貢献したい」と闘志を燃やした。
 山田選手は今大会、出場機会に恵まれなかったが、「苦しい試合ばかりだったので、甲子園が決まって本当にうれしい」と他のナインとともに喜びを爆発させた。甲子園へ向けては「先輩のことをしっかりと支え、出番があれば頑張りたい」と話した。
 第94回全国高校野球選手権大会は、8月8日から熱戦がスタートする。