田辺市・白浜町・上富田町を流れる富田川が生息域の北限付近とされ、同河川では天然記念物にもなっているオオウナギが、 みなべ町山内の目津川河口で見つかった。 捕獲したのは東本庄の尾田賢治さん (31) と久保隆治さん (23) の2人で、 25日に専門家が鑑定して判明。 紀伊半島の紀伊水道側では最も北限での発見で、 26日には兵庫県の須磨海浜水族園に移された。
 ウナギ目ウナギ科。 成長すると全長2㍍、 20㌔になる。 背中は黄褐色の地に黒のまだら模様があるのが特徴。 熱帯性で主としてインド洋から中部太平洋に分布する。 日本では黒潮の影響が強い地方にだけ生息し、 千葉県利根川が北限とされる。 紀伊半島の紀伊水道側では富田川が北限で、 河口から上流へ18㌔区間に棲むオオウナギは天然記念物として保護されている。 平成10年に田辺市の稲成川で見つかっていたが、 今回の発見で、 さらに北で見つかったことになる。
 尾田さんと久保さんは青年クラブみなべの活動として7月から千里の浜でアカウミガメ保護のパトロールを行っており、 同月上旬、 同浜に流れ込む目津川の河口付近でオオウナギを発見。 たもで捕まえた。 体長43㌢ (生後2~5年) で、 大きさは普通のウナギサイズ。 「最初は特に何も思わなかったが、 ウミガメ調査で来ている研究員から 『これはオオウナギでは』 と言われ、 よく見ると体の模様が普通のウナギと違うように思った」 という。 自宅に持ち帰り、 水槽に入れて飼育。 その後もインターネットで調べたりしていたが、 25日にウナギのことで詳しい須磨水族園の職員に写メールを送って鑑定を依頼。 「間違いなくオオウナギ。 珍しい発見」 と言われてびっくり。 26日、 同水族園に寄贈した。尾田さんは 「絶滅危惧種のアカウミガメのパトロール中に、 富田川で天然記念物になっているオオウナギを捕まえた。 千里の浜はすごい」 と話している。