強い台風4号が紀伊半島に上陸した19日夕方から夜にかけて、県内では県南部を中心に一時、272世帯、394人が避難した。日高地方は6市町で計13世帯18人が公民館等に自主避難、幸い人的被害や大きな物的被害はなかったが、続く台風5号も20日昼現在、和歌山県に向かって進んでおり、引き続き土砂災害等に警戒が必要だ。
 今回の台風4号の強い雨と風により、和歌山市内で15歳の男性が風にあおられた鉄扉に指を挟まれ、大ケガをしたほか、印南町西ノ地で切目小学校近くの町道の法面の一部が落下。日高地方では道路の冠水、崩土等はなかったものの、由良町大引―小引間の県道、美浜町和田の煙樹ケ浜沿いの県道などが越波のため、日高川町高津尾地内の県道が日高川水位上昇の恐れのため一時通行止めとなった。
 県全体では南部を中心に19日午後7時現在、5200世帯以上、1万人以上の住民に避難準備の情報や避難勧告が出され、うち394人が実際に公民館や集会所に避難した。日高地方では印南町が古井地区の1世帯に避難を勧告、日高川町は田尻地区の4世帯11人、猪谷地区の4世帯7人、上初湯川地区の48世帯68人に避難準備情報を発令。実際にはいずれも自主的に、御坊市で8世帯11人、印南町で1世帯1人、由良町で1世帯1人、日高町で1世帯2人、みなべ町で2世帯3人の計13世帯18人が避難した。
 台風5号は20日午前10時現在、南シナ海にあり、時速15㌔で北東に向かっている。今後、日本列島に向かって進み、途中で低気圧に変わるとみられるが、今後も大雨に注意が必要だ。
 和歌山地方気象台によると、中心気圧は990ヘクトパスカル。中心付近の最大風速23㍍、最大瞬間風速35㍍。予報円では、21日午前9時時点で東シナ海まで進み、その後温帯低気圧になると予想されているが、梅雨前線を刺激して和歌山県を含む日本列島に激しい雨を降らせる可能性がある。台風4号で地盤が緩んでいることが考えられ、土砂災害や河川の増水等に引き続き十分な警戒を呼びかけている。