陸上自衛隊和歌山駐屯地が本年度中に美浜町の煙樹ケ浜で実施を予定している水際地雷訓練は、来月上旬にもスタートすることが分かった。ことし3月28日、紀州日高漁協美浜町支所など4団体と御坊市長、美浜町長、近畿中部防衛局長の7者間で基本合意に達し、5月には美浜町の森下誠史町長と駐屯地司令が協定を締結。美浜町は防衛省に対し、漁港整備等の補助事業実施を要望している。
 19日開会した美浜町議会6月定例会の冒頭、森下町長が訓練実施までの経過等を報告。それによると、平成15年末から近畿中部防衛局が地元漁業関係者などへの交渉を開始し、18年度には模擬訓練の実施や町内6カ所での住民説明会などを経て、12月に町議会が訓練に同意する決議を議決した。しかしその後、関係漁協との大詰めの協議で合意に至らず、和歌山駐屯地主力の第304水際障害中隊は毎年夏の約1カ月半の間、北海道の手塩に移って訓練を実施。ことし3月の基本合意を受け、森下町長と駐屯地の福永信彦司令は5月31日、煙樹ケ浜及びその前面海域における水際訓練の実施に関する協定を締結した。
 駐屯地によると、訓練は7月、9月、10月、来年2月の4回を予定しており、第1弾の7月は3日から18日までを訓練期間に設定。水陸両用の水際地雷敷設車が海に出て模擬地雷を投下するなど実際の訓練は天候にもよるが、現場の整地作業等が終わったあと、早ければ6日にも関係者を招いての開始式を行い、スタートする見通しとなっている。
 美浜町は訓練によって制限水域が設定、陸上部分も占用されることから、漁業関係団体の要望を受け、防衛省に対して浜ノ瀬地区の漁港整備(日高港西川地区漁船係留施設)、三尾地区のイセエビの増殖場造成事業(築いそ投石)などを要望。森下町長は行政報告で「これらは町の水産振興の一助となる」とし、議会にも訓練実施への理解と協力を呼びかけた。