梅の果実の中に含まれている成分が脂肪を効果的に燃焼させる効果があることが、サッポロ飲料㈱(本社・東京)等の研究で分かった。マウスの飼料に梅干しをつくる過程で生成される梅酢ポリフェノールを含有させて与えたところ、細胞内でエネルギーを生産する遺伝子群の発現量が増加し、脂肪を燃焼させてエネルギー生産を促進した。細胞内に脂肪を蓄積させないという効果もみられたという。同社では梅を使ったメタボ対策飲料や健康食品の開発を目指す。
 数カ月前には「トマトがダイエットに効果的」と報じられ、一時は小売店でトマトがなくなるというほど爆発的な売れ行きをみせたという。今回はトマトの時のようなことには至っていないが、何かきっかけさえあれば同じような現象が起こる可能性もある。そうなれば、産地にとっては大きなプラス効果が発生する。
 商品を売るには、「中身さえ良ければ物は売れる」という考え方だけでは通用しない。消費者にどれだけ付加価値を与えることができるかということも大事だ。だからこそ企業はパッケージなどにも気を遣い、アイデアを凝らす。梅も同じこと。もちろん、ブランドにふさわしい品質でなければならないが、消費者の心をくすぐるような仕掛けが必要だ。そういう意味では今回の研究結果の「脂肪燃焼効果」は消費者に強いインパクトを与える。
 みなべ町ではさまざまな手法で梅の消費拡大PRを実施。これまでの研究で胃がんや糖尿病予防などの効果を解明し、健康面の機能性を全面に押し出している。今後は「梅といえばダイエット」という消費者に対する意識付けに取り組み、産地が活性化することを願いたい。  (雄)