印南町は大雨による地方(あげ)地区=役場周辺=の浸水対策へ、今夏にも調査に取り掛かる。浸水は数十年前から問題となっており、これまでも対策が検討されていたが、費用面がネックとなっていた。対策は日裏勝己町長が選挙中訴えてきた取り組みの一つで、具体的な対策方法や費用を調査するなどして、課題解決へ取り組む。
 地方地区は盆地となっており、 昔は田んぼが多く遊水地の役割を果たしていたが、 近年民家などの増加に伴って、 遊水能力が低下。 1時間に50㍉を超える大雨が降ると、 コーナンホームストック印南店前付近から水がたまりだし、 周辺の道路や田んぼ、 排水路が浸水。 平成18年の大雨では近くのスーパーが床上30㌢程度浸水し商品が水に漬かったり、 周辺の民家数十軒が床上浸水するなどの被害が出ており、 昨年の台風12号時の雨でも床下浸水があった。
 原因は土地の低さ。 排水は印南川に流れているが、 川の水位が2・8㍍を超えると川の側面にある排水口から水が逆流する。 地元では大雨時には水路や水門をふさいで逆流を防いだ上で、 ポンプを使って水を川に排出しているが、 解決には至っていない。
 調査は町としては初だが、 平成18年に県が実施。 大きな遊水地を造ったり、 水路のかさ上げ、 大型ポンプの設置などの対策が考えられたがいずれも費用が高く、 費用対効果などを踏まえて実現していない。
 日裏町長は選挙期間中、 浸水対策を訴え、 6月議会に調査予算300万円を計上し可決された。 7月に業者を決め、 同月か8月にも取り掛かり、 年内を目標に進めていく。 調査は地方とともに近年浸水が発生している宇杉地区でも実施。 原因と対策を調べ、 これまでは推測でしか示されていなかった対策費用を具体的に示すとともに、 県や国の補助制度に当てはまるかなども調べる。 結果をもとに、 対策事業の実施を判断する。
 現在考えられている対策で最も実現性が高いのは大型ポンプの設置。 水門近くに施設を建設し、 大雨時は排水口と水門を閉じて、 水を排出する。 見積もりは行われていないが、 推測で約5000万円以上が必要とみられている。