台湾の高校生93人が日高川町と印南町を訪れ、農家民泊を体験した。農家家族の一員となって農作業を手伝ったり、郷土料理を食べたりして日本文化にふれ、貴重な思い出を持ち帰った。県が展開する海外からの教育旅行誘致事業だが、両町タイアップによる初めての受け入れで、これまで無理だった100人規模のニーズに対応した。タイアップは日高地方への観光客誘致に大きな武器だ。
 日高川町では、農家民泊はゆめ倶楽部21が実施。倶楽部はかねて体験型観光を展開し、田舎ならではの体験を都会の人たちに提供してきた。幾度となく取材したが、参加者はみんな笑顔いっぱい。楽しいひとときの提供に喜びがあふれ、 こちらまで鼻が高い。民泊は体験型観光のさらなる飛躍への起爆剤で、同町では事業化に向け他県へ先進地視察するなどした苦労が実を結び、数年前から軌道に乗り出した。数時間だけだった擬似田舎体験が、一層リアルな体験ができるとあって大人気だ。
 そんな魅力あふれる体験を子どもたちにもさせようと修学旅行を希望する学校も多いが、受け入れ農家が少ないため、チャンスをものにできないことも。結局、民泊ではなく田舎体験だけ楽しんで、宿泊は白浜ということもあったが、印南との連携で解消されそう。両町によるタイアップは来年度から本格化、すでに東京都の中学生120人の受け入れが決まっている。今後も外国の教育旅行や小中学校の修学旅行など多様なニーズに対応できそう。願わくばもっと大人数の受け入れ、さらに魅力いっぱいの体験を提供できるよう、将来的には日高地方全体での取り組みを期待したい。  (昌)