先日、 印南町の老人大学いなみシニア学園のオープン教室を取材した。 「親としての学び」 「親になるための学び」 などの 「親学」 を推進している明星大学 (東京) の髙橋史朗教授が話した。
 いくつか印象的な話があった。 ある学校では保護者から 「給食費を払っているのでうちの子には 『いただきます』 を言わせないでほしい」、 ある保育園では自分の子どもが鼻水を流しているのを見て、 保育士に 「早く拭いてください」 と指示する親がいるという。 いずれもお金を払っているからという理由。 あるラジオでこのことが流された際は、 こういった行動に同調する意見も多かったという。 会場のお年寄りからは 「えー」 と驚きの声が上がり、 親の子育てに対する意識の変化を感じた。
 また子どもの夢ランキングでは、 男の子の1位がスポーツ選手、 女の子の1位はお菓子やケーキ屋。 「お父さん・お母さん」 が数十年前からランク外になっており、 子どもの親に対する感覚も大きく変わってきている。
 子どもが変わってきたのは家族や地域の絆が薄くなってきたと指摘する髙橋教授。 筆者にも1歳の子どもがいるが、 将来のことを考えると、 どんな通信教材が効果的なのかとか、 何歳から保育園に通わせたらいいかとか、 塾や習い事はどうしようかなど、 提供されているサービスを利用することばかり考えがち。 最も大切な人間性を育むためには、 一緒に過ごす時間が長い家庭が大切で、 一番身近な存在である親の影響が大きい。 「子は親の鏡。 親が変わらなければ子は変わらない」 と訴える髙橋教授の言葉を聞いて、 普段の自分の行動から見直そうと感じた。 (城)