「昔取った杵柄(きねづか)」という。あるテレビ番組で元世界チャンピオンの50歳代のボクサーが脅威の動体視力を披露していた。マシンから放たれる高速のバレーボールを上半身だけで避ける。だんだん、距離が近くなるのだが、5㍍を切ってからはボールの分だけ頭を動かす。本当に見事。素人はなかなか、そうはいかない。
 アラフォーとなってとりわけスポーツを心がけているわけではないが、近ごろできるだけ参加するようにしている。そんな折、ショックな出来事が。筆者は中学校までとはいえ、一応野球経験者。当時から変化球など遅い球には強く、ソフトボールは大の得意。高校・大学の球技大会や授業、町のソフトボールリーグなどは活躍の場。だから高をくくっていた。昨年、チームは6年ぶりにリーグに参加。6年間バットを握らずともとろくさいボールなんて右に左にと打てるつもりだったが、参加した試合でまさかの3タコ。足がついていかず転倒した弾みで脱臼したチームメートもいた。
 先日、町のソフトボール大会があり、ここでも2打数無安打。悔しいのは筆者だけではないようだ。高校や大学の硬式野球部でバリバリやっていた先輩や後輩でさえ、一発長打とはなかなかいかない。三塁まで全力疾走すれば足がブルブル、塁上で苦笑いしながらつらないようにもみほぐす。当時ほど体も目もついていかないが、そんなことには目をつぶって、「昔取った杵柄」とばかりに元気ハツラツ。そんなことも含めて和気あいあいと体を動かし、みんなのプレーに一喜一憂。楽しいスポーツだ。リーグが始まるまでにバッティングセンターに通って当時を取り戻そうと思うとともに、ケガだけはしないように無理はせず、細心の注意を払いたい。 (昌)