広島県福山市で7人が死亡、3人が重傷を負ったホテル火災から20日で一週間がたった。迷路のような通路、窓ガラスには板が張られるなどあまりにずさんな安全管理が浮き彫りとなり、これでは人災といわれても仕方がない。火災警報器は取り付けられていたものの、複数の人が「音は聞いていない」と証言しているように、機能していなかった可能性があり、作動していたとしても客に聞こえなければ意味がない。まさか自分のところが火事になるとは思わなかった、こんな声が聞こえてきそうで、油断が大惨事を招いたといっても過言ではない。
 日高地方でもことしは民家火災が多発している。市内ですでに死者1人を出す火災も発生している中、先週は市内で民家など3棟を全焼、日高川町でも民家2階部分を焼く火災が相次いで起こった。幸い死者はなかったものの、やけどや煙を吸うなどして2人がケガをしている。住宅火災で命を守るためには、火災にいち早く気づくことが最も必要であることはいうまでもない。住宅火災による死者の6割は、火災に気づくのが遅れたことによる「逃げ遅れ」が原因。設置が義務化されている住宅用火災警報器がいかに重要か、再認識する必要がある。
 火災や災害が起こってしまってからでは遅いのだが、発生してしまった以上、われわれは教訓を学び、今後に生かしていかなければならない。福山の火災で警報器の重要性と、行政機関のきめ細かいチェック機能、そして改善を強制させる権限を行政機関に持たせるべきであることを学んだのではないだろうか。まあ大丈夫だろう、この油断をまず捨てることが、万が一への備えであることを忘れてはいけない。       (片)