県が2社のソフト開発企業と提携、開発したスマートフォン(多機能携帯電話)の災害時避難先検索アプリは、新たに風水害時の避難先情報を掲載し、津波からの避難先の最新情報が更新された。各市町村が指定する避難場所について、安全性(3段階)、標高、備蓄品などきめ細かな情報を提供。GPS(全地球測位システム)を利用して観光客ら土地勘のない人も誘導でき、全国のモデルとして注目を集めている。
 アプリは県とソフト開発会社のイサナドットネット(東京)、ファーストメディア(同)が共同で開発。アプリ名はイサナドットネットが「NIGERu~和歌山防災~」、ファーストメディアが「全国避難所ガイド」。いずれも各市町村が指定する学校や公民館の避難場所について、各市町村が判定した安全性レベル、標高、備蓄品、収容人数などの情報を確認できる。
 3月末のサービス開始からこれまで、地震・津波時の避難先情報を提供していたが、8日からは昨年の台風12号災害後に見直しを進めていた風水害時の避難先情報を追加。また、地震・津波の避難先については、3月に公表された南海トラフの巨大地震の被害検討結果を踏まえ、各市町村が見直した安全性レベルなどの最新情報をアップした。
 イサナドットネットの「NIGERu」は和歌山県の情報だけで、ファーストメディアの「全国避難所ガイド」は全国の情報が掲載されているが、安全性レベル(最大3つの☆マーク)や施設の耐震性、「津波時は3階以上」などと詳細な情報を見ることができるのは和歌山県だけ。アプリを起動すると、GPSで自分の現在地と周辺の避難所の登録データが表示され、ルート検索を選択すれば地図上に避難先までの最適ルートが表示される。現在までの両アプリのダウンロード数は、全国避難所ガイドが1万本以上、NIGERuが1000本以上となっている。
 8日の仁坂吉伸知事の定例会見では機能紹介のデモンストレーションが行われ、仁坂知事は「観光客や出張で和歌山へ来た人も、このアプリをダウンロードしておけば災害が起こったときに大いに役立つ。今後、メディアや旅行業界、JRなどと連携して周知していきたい」と話した。