21日朝、国内では25年ぶり、関西では282年ぶりとなる金環日食が起こるのを前に、日高地方でも盛り上がりをみせ始めている。日高川町のかわべ天文公園には金環日食とならない地域の人らの宿泊予約が続々と入り、市内のショッピングセンターでは観測用のメガネの売れ行きが好調。太陽が欠ける時間帯が学校の登校時間と重なることから、全国的には児童生徒の交通事故防止のための安全対策を立てている学校もある。
 日食とは、地球を周回している月が太陽との間に入り込み、太陽に重なって太陽の一部、または全部を隠してしまう現象のこと。地球から見て、太陽が三日月のように部分的に隠されるのは「部分日食」、太陽が完全に隠されてしまうのは「皆既日食」で、今回の「金環日食」は太陽の方が手前の月よりひと回り大きいため、月の丸い影に沿って環(リング)のように輝いて見える。21日は国内で1987年以来、25年ぶりに一部の地域で金環日食、その他の全国の地方で部分日食を見ることができ、紀伊半島はどこからでも金環日食を観測できる。日高地方では午前6時15分ごろから太陽が欠け始め、7時26分ごろから30分ごろまでが金環食となり、8時52分ごろまで部分食が続く。
 和歌山県は全国屈指の観測環境となることから、金環日食帯の中心線を通る新宮市や串本町のほか、白浜町、田辺市などでは観測会やイベントが多く開催され、県も宿泊を伴った誘客キャンペーンを展開。日高川町のかわべ天文公園も、金環日食とならない近畿北部や中国地方などからの宿泊予約が相次いでおり、隣接のテニス公園も学校関係の団体宿泊予約が入っている。天文公園は観測用メガネが品切れ状態で、市内オークワロマンシティおもちゃ売り場でも今月に入ってメガネがよく売れているという。
 金環日食が見える時間帯は子どもたちの通学時間と重なることから、全国的には通学途中に空を見上げて事故に遭わないよう、通学時間を早めたり、休校措置をとる学校も。日高地方ではまだそこまでの動きはないが、美浜町教育委員会では「まだそんな話は出ていないが、校長会などで確認しておきたい」と話している。