紀州路に初夏の訪れを告げるアユ漁が1日、日高川で全国のトップを切って解禁日を迎えた。昨年9月の台風12号の影響で川が大きな被害を受けたため、釣り人は椿山ダム下流では姿が見られないなど例年より大幅に減少。そんな中、比較的ダメージが少なかった寒川や丹生ノ川などダム上流の支流では県内外からこの日を待ちわびた太公望が竿の感触を楽しみ、釣果の方は上々の幕開けとなった。 愛好家らの願いが届いたのか、前日の雨はお湿り程度。心配された空模様も崩れず、川は濁りもなく、本流、支流ともいずれのポイントでも入川できるコンディション。ただ、台風12号の影響で、毎年多くの太公望でにぎわう川中迂回線などでは釣り人の姿が見られないなど例年よりひっそりとした幕開け。解禁日には必ず10人前後の釣り人が訪れる寒川の川の駅下周辺でも午前中は2人だけだった。
 そのうちの一人、京都市から訪れた才村勝夫さん(67)は午前7時に入川。ウエットスーツに身を包み、ポイントに釣り糸を垂らした。10年以上前から毎年解禁日は寒川に入川。台風の影響で川底の石が流されるなど変わってしまった川の状態に戸惑いながらも2時間余りで約20匹を釣り上げるなど釣果は上々。サイズは14~15㌢、大きいので17㌢とやや小ぶりながらも、おととしと比べて25日も早い幕開けを考えると予想以上の良型で、才村さんは「こんなに早く釣りができて感激。台風の影響を心配しましたが、思った以上に釣れました。今日、明日で100匹ぐらい釣れればいいですね」と期待に胸を膨らませた。
 県内河川の解禁日はおととしまで5月26日となっていたが、県の内水面漁業調整規則の改正を受けて昨年から5月1日に前倒し、高知県河川を抜いて日本一の早さとなった。日高川は、昨年に限り解禁日を試験的に3日とし、5月20日までの早期解禁中は10日間の休漁期間や禁漁区など設けていたが、ことしはこれらの制限を撤廃。期間中を通して本流、支流とも釣りができるようになった。