ヤクルトや阪神、楽天で監督を務めた野村克也さんの語録に「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」というのがある。先日の全日本少年軟式野球大会県予選大会で6年ぶり4回目の優勝を飾った日高オールスターズの戦いぶりは相手チームに「負けに不思議の負けなし」と思わせる内容だった。オールスターズは決勝を含む3試合で失策0。与四死球は計5。軟式野球は連打が難しく、長打も出にくい。四死球と失策から得点につながるケースが圧倒的だが、それがほとんどなかったから相手は「付け入る隙がなかった」と思ったはず。相手は6回まで被安打0で2失点したり失点に絡む失策が目立ち、「不思議な勝ち」のチャンスはなく、「負けに不思議の負けなし」と感じたことだろう。
 インターネットで調べてみると、野村語録で知られるこの言葉だが、野村監督自身の言葉ではなく、剣術書「剣談」からの引用だそうだ。その意味は「負ける時には何の理由もなく負けるわけではなく、何か負ける要素がある。逆に勝った時でも、何か負けにつながる要素があった可能性がある」。すなわち、負けた場合には理由が何だったのかを検証し、どうすれば改善できるか考える必要があり、勝った時でも負けにつながることはなかったかと反省がいるということ。勝っても次につなげられなければ名将とは呼ばれない。
 オールスターズは6月の近畿大会でレベルの高い大阪、滋賀に連勝しなければ8年ぶりの全国、横浜切符は得られない。県予選では攻撃に少し不安を残したのが反省点。あと2カ月弱で修正し、試合に臨んでほしい。とにかく残り2戦。ここまできたら不思議の勝ちでも何でもいいから勝ってもらいたい。    (賀)