優れたアイデアで職場の技術改善に貢献した人をたたえる文部科学大臣表彰受賞者が決まり、市内島の大洋化学㈱樹脂事業部グループリーダー西端秀記さん(50)=市内名田町野島=が創意工夫功労者賞に選ばれた。これまで廃棄処分を余儀なくされていた製品の製造過程で出るプラスチックの再利用を可能にする機械を開発したことが認められた。19日に県庁で表彰状の伝達式が行われる。
 勤続32年、 これまで麻雀卓の改良や牌の洗浄器など数々の開発を手がけ、 「大洋化学のエジソン」 といわれる西端さんが今回考案したのは、 製造過程で団子状になって出てきたプラスチックを薄く伸ばす機械。 スパゲティーの麺のようになるため、 愛称は 「パスタマシーン」 だ。
 同社はガス配管の継ぎ手やインスタントコーヒー瓶のフタなどさまざまなプラスチック製品を受注製造しているため、 扱う材料や色もさまざま。 ある製品を製造したあと、 同じ機械で別の製品を作るときには、 はじめの材料が残って混じらないよう、 出てくるプラスチックを 「捨てショット」 といって製品用にはせずにはねている。 破砕機で細かくすれば再利用できるが、 こぶし大の団子状で出てくるため、 破砕機には入らず、 再利用法を確立することが課題となっていた。
 西端さんは団子状のプラスチックが高温なうちに薄く伸ばすことができれば破砕機に入ると考え、 設計図を頭の中でイメージし、 自分で機械を組み上げて試作品を製造。 実際に使ってもらいながら15回の改良を重ね、 従業員が作業しやすい現在の形に仕上げた。 これにより、 これまで廃棄処分にかかっていた費用や手間が軽減され、 環境への付加も少なくなったという。 これらの功績が認められ、 昨年には県発明考案創意工夫賞を受賞していた。
 西端さんは 「構想から2年かけて完成できた。 扱う人が使いやすいことを常に心がけていますが、 これまでの取り組みが評価されてうれしいです」 と笑顔で、 「冷却方法などまだ改良点もあるので、 さらにいいものにしたい。 これからも使う人の立場になって、 多くの人に喜んでもらえる製品を作っていきたい」 とますます張り切っている。