美浜町、 煙樹ケ浜の沖合いでアオサとみられる緑色の海藻が大量発生し、 シラスの地引き網漁業に深刻な打撃を与えている。 先月中旬から引き揚げる網に付着するようになり、 シラスや他の魚が入っても商品にならないという状態が半月以上。 漁業者は 「こんなことは初めて。 毎日毎日、 むごい話や...」 とがっくり肩を落とし、 連絡を受けた町と県が原因解明に乗り出した。
 アオサは緑色の海藻の一種で、 一般的に潮の満ち引きのある浅い海中の岩場、 磯などに付着して繁殖。 まれに海水に浮遊した状態で成長・繁殖する場合もあるという。 煙樹ケ浜では、 東側から浜ノ瀬、 吉原、 和田の3組が地引き網漁を行っているが、 アオサが網に付着しているのは浜ノ瀬だけ。 浜ノ瀬の組は毎朝6時ごろから、 浜から南へまっすぐ、 関電御坊発電所先の鰹島灯台を越えたあたりに網を置いて引くが、 先月中旬から網に緑色のアオサがびっしりと付着するようになった。 魚はほとんど入らず、 とれた魚も商品にならないため、 漁師は 「漁は海が穏やかな日しかできず、 せっかく漁に出てもこの調子では飯の食い上げ」 と、 原因不明のアオサに頭を抱えている。
 浜ノ瀬の網の責任者、 中村敏雄さん(72) によると、 アオサは普通、 磯のあるところに発生するが、 なぜか磯のある吉原や和田の網には付かず、 砂浜ばかりで岩や磯がない浜ノ瀬の網にだけ付いてくる。 「50年ほど地引き網漁をしているが、 これだけ大量に長期間にわたってアオサが付くのは初めて。 自然に発生したのなら、 うちの網にだけ付くのはおかしい。 なんらかの人為的な原因があるのでは」 と話す。
 2日朝には連絡を受けた町と日高振興局の水産担当職員が網の状態を確認。 アオサとみられる海藻は県の水産試験場へ送り、 種類を特定、 発生原因等を調べることになった。