みなべ町の晩稲地内と熊岡地内にまたがる山の斜面の梅畑で以前から地すべりが発生していることを受け、町は23日までに、梅畑に異変を感知する「伸縮計」を設置した。ふもとには民家があり、土砂が動くと赤色灯が回転して危険を知らせるほか、携帯電話にメールを自動送信するシステム。県による対策工事は25年度からになる見込みで、町では「少しでも住民の不安解消につなげたい」としている。
 現場は熊岡地内、 愛宕神社近くの小高い山で、地すべりは熊岡側の斜面と晩稲側の斜面の2カ所で発生。いずれも梅畑になっており、 関係者の話によると一気に崩れるのではなく以前から少しずつ動いていたが、2、3年前からひどくなったという。 植えられている梅の木が数㍍移動したりコンクリート舗装した道路に亀裂が入ったほか、梅畑に最大で1㍍の段差ができた場所もある。 昨年9月の台風12号による大雨では、 一日で30㌢ほどのズレも確認されており、対策を望む声が上がっていた。
 町では異変を素早く察知するため、 ことし2月下旬から伸縮計の取り付けをスタート。今月に入って完了させている。 伸縮計は、山頂付近と地すべり部分に支柱を立ててその間 (十数㍍) をワイヤーで結び、地面が動くとワイヤーが伸びる装置。 GPS機能でデータはすべてパソコンに入力されている。 一般的に地すべり注意レベルとなる動き (1時間に2㍉) があれば、 晩稲・熊岡両地区合わせて10軒の民家の住人にメールで自動送信され、危険レベルの動き (1時間に4㍉) があれば民家近くに設置している赤色灯が回転することになっている。 設置が完了して以降は、メール送信されるほどの動きはないという。
 県は24年度中に、国に対して地すべり指定の申請と具体的な対策を検討し、25年度から実際に取り掛かる。町では 「対策が完了するまで、 少しでも不安を取り除ければ。メールや赤色灯が回転したときは、避難を心がけてほしい」 と注意を呼びかけている。