内閣府が19日に公表した推計で、2010年春に学校を卒業した人のうち、就職できなかったり、就職から3年以内に離職する人の割合が大学と専門学校生で52%、高校生で68%にも上ることが明らかになった。新聞紙上でも詳しく報道されており、若者の雇用問題の深刻さがあらためて浮き彫りになった。
 この推計で特に驚いたのが、離職率の高さだ。大学・専門学校生では56万9000人が就職したが、約3分の1の19万9000人が3年以内に離職。高校生では18万6000人が就職したが、約4割の7万5000人が離職した。「石の上にも三年」はもはや死語に近く、目まぐるしく移り変わるこの時代に、苦しくてもじっと我慢、辛抱して報われるのを待つという精神は古いのだろうか。
 新聞記者という仕事に就いて15年ほど。駆け出しの頃は辛いこともたくさんあった。不勉強のまま全国的にも有名な大手企業へ取材行くと「きちんと下調べぐらいしてから出直せ」と怒られ、行政では出てくる言葉一つ一つほとんど意味が理解できなかった。大手企業への取材ではそれから必死に勉強、取材させてもらい、行政についても自分が納得するまで学んだ。「3年過ぎた頃から面白いと思えるようになる」。15年経過して振り返ると、上司に言われた言葉通りだと感じている。3年以内に辞めていればこの仕事の楽しさがほぼ分からなかった。
 就職するということは、少なからず自分で選んだ道を歩んだということだ。人は経験を積みながら成長していくものであり、3年以内に離職するという状況では得られるものは少ない。やりたいことはやればいい。ただ、辛抱の先に見つかるものもあると、新社会人には知ってほしい。     (賀)