美浜町は来年度、安全安心のまちづくりとして、緊急の課題となっている防災・減災対策に力を入れ、津波からの避難場所となる松原、和田の両小学校校舎に屋上への外階段を設置する方針を決めた。東日本大震災後に行われた住民参加の避難訓練の反省から、「校舎内の階段だけでは間に合わない」という声を受けての対応。町内では公共施設以外に大きな建物や高台がなく、西山山頂への避難路(遊歩道)整備等も進める。
 現在の地域防災計画の想定、マグニチュード8・6の地震が発生した場合、美浜町沿岸へは最大6・6㍍の津波が29分程度で到達するとみられている。東日本大震災後、昨年8月に行われた津波避難訓練では、緊急避難先として初めて松原小学校の屋上が開放され、地域の子どもからお年寄りまで約600人が避難した。
 松原、和田の両小学校はともに鉄筋コンクリート3階建てで、海面からの高さは松原が17・7㍍、和田が20㍍。松原小は校舎内の東寄りに屋上まで通じる階段があるが、訓練では押し寄せた住民で混みあい、あわせて行った担架による負傷者搬送もスムーズとはいえなかった。この反省から、その後に行われた町と自主防災会との意見交換会でも「外から屋上へ上がれる階段があれば」という声が多く、町は来年度、松原に最大1000人、和田には最大1800人の避難を想定して外階段を設置することを決めた。
 本年度から進めている飲み水や生活用水の井戸の確保では、各地区でピックアップした候補のうち水質検査に合格した井戸に対し、住民から寄付された手押しポンプを提供。さらに自主防災会がポンプを設置する費用を補助する。ほか、三尾地区と和田本ノ脇地区から西山山頂へ通じる遊歩道も、観光と合わせた災害対策として生い茂った木々を伐採。教育分野でも、小中学校への児童、生徒の防災ヘルメットの配備予算を計上している。