みなべ町東本庄の小倉谷孫六遺跡で、 弥生時代に使われていたとみられる石斧 (せきふ) が見つかった。 同遺跡周辺で弥生時代の石器が発見されるのは、 昭和13年以来74年ぶり。大きさは縦12㌢、 横5㌢、厚さ3㌢。ほぼ完全に原形を残しており、県文化財遺産課は 「地域の歴史を知る貴重な資料になる」と話している。
 東本庄の寺本三直さん (75) が、 小倉池近くの山の斜面にある梅畑で農作業中に見つけた。 「他の石とはまったく違う色で、 形も丸みを帯びていた。 すぐに石器だと分かった」 という。 石器は町教育委員会に持ち込み、 埋蔵文化財発見届を提出した。 弥生時代に木などを切る生活道具として使われていた石斧とみられ、 刃に当たる部分が磨かれている。 寺本さんは 「学生の教材などに活用してもらいたい」 と話している。
 県文化財保護指導委員の山本賢さん (83) によると、 「昭和の初めごろは梅畑の開墾などの時に弥生時代の石器が見つかったが、 それ以来発見されていない。 いままでに発見された弥生時代の石器は部分的に欠けていた物が多いが、 今回の石斧は完全な形で状態がよく、 貴重な資料」 と話している。
 小倉谷孫六遺跡は、 海抜50㍍から150㍍に位置する弥生時代後期の高地性遺跡。 遺跡は、 通常は平野部の低い場所に多いが、 みなべ町では高地性遺跡が南部平野を囲む形で約10カ所に点在している。