市内寺内町のシンボルで「日高御殿」といわれた横町の中川家邸宅が、所有者の意向で取り壊される可能性が出ている。このため、市内有志の御坊まちづくり委員会(野村義夫会長)が取り壊しに待ったをかけるため、購入希望者を探しているのは、先月28日付の本紙で紹介した通り。
 同委員会は所有者に承諾を得ており、購入するなら土地代程度でいいという約束も取り付けた。中川邸宅の敷地面積は320坪だから、金額にすれば数千万円。さらに老朽化も進んでいるため改修費も必要。こんな建物こそ文化庁の「登録有形文化財」の指定を受けて修繕のための補助金をもらうようにすればいい。
 筆者自身が購入できるわけでもないのに勝手な話だが、中川邸宅を改造して観光客用の食事処や休憩所、土産販売所にすればいいと思う。寺内町観光は市や御坊商工会議所地域活性化委員会が数年前から推進しているが、食事処などがなかったのが大きなネックとなっている。
 さて問題は数千万円の費用を出してだれが買うのか。厳しい不況の中でなかなか個人が購入するのは難しいと思われる。だから観光推進という観点で行政にお金を出してもらうのが一番いいような気もするが、これもまた市や県の財政状況をみればそうもいかない。となると、あとは有志の共同出資ぐらいだろうか。みんなで中川邸宅を食事処などにして商売するという感覚で新事業を展開するのである。その登録有形文化財の指定も受ければ多少なりのお金も確保できる。確かに商売が成功するのかどうかは未知数だが、京阪神方面の年配者から寺内町が注目を集めているのは間違いない。少しは将来性があると思うのだが...。 (吉)