きょうから3月、いよいよ春も本番間近。春といえば別れと出会いの季節だが、出会いについて書きたい。
 今から2年ほど前、中日ドラゴンズ入団を決めた岡田俊哉投手(20)=美浜町出身=に人生のターニングポイントをテーマにインタビューした。智弁和歌山で1年夏からマウンドに立った左腕。初めての甲子園では、150㌔を超す速球を誇る佐藤由規投手(ヤクルト)を間近で見て、「自分もこんな投手になりたい」と向上心に火がついた。高3の春、偶然空き時間ができ、センバツ決勝を生観戦。150㌔超の豪腕ながら打たせて取る投球術も持ち合わせる清峰のエース・今村猛投手(広島)から、最後の夏を乗り切る大きなヒントを得て、スカウトもうなる巧みな投球を身につけた。高嶋仁監督や甲子園で対戦した数々の強打者ら、さまざまな出会いを通じて「いまの自分があるのも"運命の出会い"があったからこそ」と話した。その言葉が強く印象に残っている。
 記者という仕事も出会いがたくさんある。夢実現へ一生懸命なスポーツ選手にやる気をもらったり、困難を乗り越えて頑張る人たちに勇気をもらったり。日々の新しい出会いからいろんなことを学び、充実させられていると感じている。
 ただ、新しい出会いを生かせるかどうかは自分の心持ちしだい。岡田投手の場合、「出会いはプラス。いかに相手から吸収できるかどうか」と積極的な姿勢があったからこそ、成長につなげることができたと思う。高校を卒業して社会人として働く、またふるさとを離れて大阪などで大学生になる。新生活が始まる人たちには、多くの出会いが待っている。偶然から運命にも変えられる出会いというものを大切にしていってほしい。
       (賀)