先月下旬、深夜の討論番組に橋下徹・大阪市長が出演していた。先の激しい選挙で「独裁」とのイメージを植えつけられた橋下市長だが、同市長の推進する大阪都構想や教育改革、脱原発に異論、疑問のある3、4人の論客を相手にしても分かりやすい、冷静な受け答え。この放映をみている限りでは独裁というイメージからはほど遠く、対立する考えの人の話もよく聞き、自分の政策を丁寧に伝えようとする普通の首長だった。もてはやされているリーダーシップだけで大阪府知事、大阪市長と2度の選挙を制してきたのではないと感じた。
 小泉純一郎・元首相の登場以来、先行きの見えない時代ということもあってリーダーシップやトップダウンが重要視されるようになった。この手法は目まぐるしく移り変わる今日、スピードに優れているという点で必要ではあるだろうが、使い方を誤ると一気に間違った道に進む可能性があり、もろ刃の剣ともいえる。政治は常に競争、利益を追求しなければならない民間企業と同じではない。時間がかかっても民意を尊重したうえで解決しなければならない問題も多い。リーダーシップはなくてはならないものだが、最低限の資質として住民の声に耳を傾けられない人は政治家には不向きということになると思う。
 大阪都構想を最大の仕事にしている橋下市長。選挙で勝ったからとおごることなく、論客を相手にした時のように丁寧な説明を忘れず住民の声をよく聞きながら公約を実現していってほしい。橋下市長だけではない。消費税増税、復興、行革に取り組む国会議員にもいいたい。民意を問う姿勢がなければ、リーダーシップやトップダウンが独裁に成り下がってしまう。 (賀)