梅と並ぶみなべ町を代表する特産物、紀州備長炭。品質がよく、取引している東京の焼き鳥店からは「備長炭がなければこの味は出せない」と高い評価を受けている。そんな伝統産業にも高齢化の波が押し寄せている。先日みなべ川森林組合の松本貢さんが講演でいわれていたが、現在いる40人の炭焼き職人のうち10人が80歳を超え、近いうちに現役を引退する人が多いという。地元の職人が少なくなる中、地域産業を支えているのはIターンの若手。10年ほど前に備長炭がブームになったのも手伝って、都会から移住、地元の女性と結婚した人もおられる。志があれば、地元の人だろうが都会の人だろうが関係ない。地域産業を守るのは、人なのだ。
 農業が盛んな日高地方では、やはり後継者不足が深刻な問題となっている。そんなことは10年以上前からいわれているが、いまだにこれといった有効な対策はなく、少ない面積で効率のいい農産物を作る集約農業が主流となっているいま、耕作放棄地はますます増える一方だ。就農を希望するIターン者も多く、地域農業の一翼を担っているが、遊休地が増えるスピードには追い付かない。
 泣き言をいう前に、いろいろ試す必要がある。一つは農地バンク制度を創設し、貸してもいい土地を農家から集約し、農業委員会管理のもと町が就農希望者を募集、斡旋という方法はどうだろうか。希望者がなければシルバー人材センターを活用し、行政が支援して稲や野菜、花の栽培をしてもらうのもいい。お年寄りの生きがいにもつながるし、収穫物は産品所に出品して収益を上げる。素人考えの提案だが、地域農業を守れるのは人でしかない。 (片)