9月も残り少なくなり、気がつくと空の東の端には入道雲の名残り、天頂にはうすく刷いたような白銀色の筋雲。夏と秋、交替する2つの季節が空というステージで同居していた。こんな空のことを「ゆきあいの空」というそうだ◆漢字では「行き合いの空」と書く。行き合わせて同じ空で出会った、隣り合う2つの季節。季節の移り変わりに敏感な日本人ならではの感性あふれる、やさしい響きの言葉だ。この言葉を知ったのは元NHKのお天気キャスター、半井小絵さんの「お天気彩時記」(文春文庫)。ことしは9月下旬に入っても残暑が続き、わりに遅くまで「ゆきあいの空」がみられた◆あの3月11日から、この国はそれまでとは違う季節に入った。いつも日常と非日常が同居しているような感覚。居住まいを正し、さまざまなものをあらためて見直さざるを得なくなった。いろんな場面で価値観や心構えが問われる。何もかも初めてのことに直面し、皆が手探りで正しい方向を模索する。そしてあれから半年が過ぎた今、我々の住む土地に自然による災害がもたらされている◆取材先などで「何かできることをしたい」という声をいくつもきいた。「イベントの実施をためらったが、発生直後だと控えたけれど、時間が過ぎた今は地域に元気が出るようにできることを精一杯やって、力になれるようにその場で少しずつでも義援金を集めて届けたい」と語る人がいた。手助けをしたいと、実際に行動に移す人がいた。季節の変わり目の空を見上げて「ゆきあい」という言葉をあらためて思い、同じ時に、同じ所に生まれ合わせた人と人とのかかわりが今、大きな力となって動き出すのを感じている。      (里)