病気、事故、けが、災害、失業...私たちの周りには日々、いろんなリスクが口を開けて待っており、多くの人はそこに落ち込む事態に備え、生命保険や損害保険に加入し、普段はあまりそのことに危機感は持っていない。自分はまだまだ若い、まさか...と思いながら、ある日突然、これらのリスクに直面し、ほとんどの人は病院のベッドの上で「きのうまでの健康だった自分」の幸せを実感する。
 たとえば、がんのような重い病気。医師からの突然の宣告は頭をバットで殴られるような衝撃で、夢を見ているような受け入れがたい現実に直面して否認と怒りを繰り返し、真っ暗な抑うつ状態の中で光を見つけられず、やがて声も出ないほどに落ち込む。つい先日までの退屈な日常がどんなに幸せだったか。「神様仏様、金も名誉もいりません。ただ、家族や友人と平和な日常を」と泣きながら取引を繰り返す。
 災害も同じように、ある日突然、平穏な日常を奪われ、つらく悲しい世界に突き落とされる。「私がいったい何を悪いことをしたというのか...」。運悪く海岸近くで仕事をしていた、おじいちゃんの代から川の近くに住んでいたために想定外の事態に襲われ、がれきと泥の中で、きのうまでのおもしろくもなかった毎日がどれほど幸せに満ちていたかを知る。
 病気も災害も、リスクに襲われ苦しむ人には、家族の笑顔、友人の励ましが支えとなり、「立ち直れる」「立ち直らねば」と希望や闘争心をつなぐ。先の台風と豪雨で被災された皆さん、いまはなすすべがなくても、また幸せな静かな日々が戻ることを信じ、ともに支え合ってきょうを乗り越えていきましょう。     (静)