先日、印南町公民館で印南地区主催の大地震と津波の勉強会が開かれた。和高専の小池信昭准教授が、東日本大震災で津波被害が拡大した原因を解説し、東南海・南海地震のプレート構造なども紹介した。
 先立って行われた印南中学校生徒の発表も興味深かった。生徒たちは宝永級の南海地震が発生した場合、どの程度まで浸水するのかを写真で紹介。区民なら誰もが知っている建物や場所に、生徒たちが工事現場でよく見かける赤と白の棒を持って立ち、第1波の浸水高と約140分後の最大浸水高にラインを引いて示している。第1波では生徒の足元程度の浸水だった場所も、最大では生徒のはるか頭の上にラインが引いてある写真もあった。よく「津波がここまで来る」や「ここは浸水する」などと言われるが、実際写真にラインを引くことで視覚的にインパクトがあり、リアリティーが増したようで、集まった区民らも驚きながらも真剣な表情で見入っていた。
 以前、神戸市にある防災未来センターを訪れた際も、吹き抜けのスペースに過去の津波の高さを目印をつけて紹介したコーナーがあり、想像以上の高さに防災意識をあらためさせられたことを覚えている。
 東日本大震災を受け、各自治体が海抜表示板の増設など新たな津波対策を進めている。単純に数字で表すより、想定される津波の高さに何らかの表示をすることで、より津波をイメージしやすくなる。またハザードマップなどにも色分けで示すだけでなく、代表的な建物の浸水ラインを写真を使って掲載することで、より津波の恐ろしさがリアルに伝わり、防災意識の向上につながるのではと感じた。   (城)