記者という仕事柄、官公庁の職員と接する機会が多い。直接役場などに行くこともあれば、電話で要件を伝えたり説明を受けたりすることもある。だが、その時の対応が不愉快に思うことがあるのも事実。1つ例を挙げて説明すると、役所や学校関係に電話をかけて担当者が不在の時に別の職員の応対で「いまは席を外してます」とだけ言って、「帰り次第こちらから電話を入れましょうか」などという一言がない場合がある。こちらから「帰ったら電話を下さい」と言うのは言い出しにくく、ちょっとした気遣いが欠けているようにも思う。
 これとは逆に、民間企業では接客マナーにも心がけている企業が多い。先日、家内から漬け物の素を買って来てほしいと頼まれ、販売しているみなべ町内の業者の直売店に行ったところ、「あいにく、その商品は品切れです。急がれるのであれば、本社の方に行ってもらえれば置いてあります」との対応。仕方なく数時間後に本社に行き、受付で「漬け物の素を売って下さい」とだけ伝えると、従業員は「直売店から話は伺ってます。これですね」と、すでに袋に入れて用意してあった商品が差し出された。業者側は筆者がどこの誰かも知らないし、本当に本社まで買いに行くかも分からない。それなのに商品が用意されていたことに、温かい気配りを感じた。想像もしていない予期せぬ好意には、うれしさが倍増する。
 気配りは、相手がしてほしいと思うことを言われる前にやること。公務員の仕事は住民サービスで、その業務の基本は相手を思いやる気配りにあると思うのだが。
       (雄)