6月6日は何の日か、知っている人はどれだけいるだろうか。紀南地方の梅産地の各種団体でつくる「紀州梅の会」が平成18年に定めた「梅の日」である。梅どころのみなべ町や田辺市などでは大半の住民が知っていると思われるが、少し離れると知らないという人も多いのではなかろうか。全国的にはほとんど知られていないというのが現状だろう。
 室町時代中期の1545年、晴天が続いて作物が育たなかったため、後奈良天皇が京都の賀茂神社で梅を奉納して祈ったところ、大雨が降りはじめ五穀豊穣をもたらしたという。この日が旧暦の4月17日で現在の6月6日。人々はその雨を「梅雨」と呼んだ。梅に感謝するとともに、災いや疫病を除くとされ、梅を贈り物にもするようになったというのが言われだ。
 2月14日のバレンタインデーにはチョコレート、2月3日の節分の日にはイワシを食べるというように、6月6日には梅を食べてもらおうというのが制定の狙いでもある。紀州梅の会では毎年、この日に京都の上賀茂神社と下鴨神社に梅を奉納。東京の大田市場で「梅フェア」を催しているほか、首相官邸へ梅製品を贈呈し、地元の神社でも「梅祭式」を行ってPRに努めている。
 しかし、全国的に周知させるにはまだまだ遠い。県内外でイベントを展開することも重要だが、まずは地元住民の熱意が大切だ。みなべ町でも「6月6日は梅の日だから」という気持ちを込めて梅を食べている人はどれだけいるだろう。「梅の日」を広めていくのは短期間でできることではない。諦めず
に我慢強く取り組むという姿勢がなければ成功しない。       (雄)