「蒟蒻」「躊躇」この漢字を読めるだろうか?順に「こんにゃく」と「ちゅうちょ」。比較的目にする機会が多い漢字なので、読めた人は多いと思うが、逆に書くとなると難しい。テレビのクイズ番組で漢字の読みや書きが出題されることが多い。そこでも「読み」はある程度答えられるのだが、「書く」となると難しくない漢字でも「どんな字だったっけ」となかなか思い出せない。そんな中、正解を出すタレントには少し尊敬を覚える。
 若者を中心に漢字を読めるが書けないという人が増えている。言うまでもなくパソコンや携帯電話の普及で、「書く」という動作が減ってきたことが要因だ。最近では小学生からパソコンや携帯電話を使うようになっているので、今後さらに増加していくのだろう。同様の現象は、漢字の国とも言える中国でも起こっている。日本のようにひらがなやカタカナがない中国では書けない漢字をどう対処するのかというと、とりあえず同音の漢字を書いてごまかすという。
 文字を扱う仕事がら、普通の人以上に漢字と接していると思うのだが、筆者も同じく読めるが書けないという字が少なくない。読むと書くでは、脳の使われ方が違うらしく、犬を見て犬と認識するのと、正確な犬の絵を描く能力が違うのと同じだという。
 先日、財団法人漢字能力検定協会が発行する情報誌で、昨年度の問題が紹介されていたので試しにやってみた。1級や準1級はもってのほかだが、小6修了程度の5級の中にも思い出せない漢字が。「もう少し漢字を書くようにしよう」と、ひらがなで埋められた取材ノートを見ながらつくづく思った。     (城)